9thアルバム「Dive in Virus」
発売記念インタビュー!!
2020年12月9日「Dive in Virus」発売。
新型コロナウィルスに振り回された2020年。その中でせめて一枚でも形になるアルバムを創りたいと思い、このアルバム「Dive in Virus」を完成させました。
以前から交流があり、オフィシャルブログでねじ式の楽曲を取り上げてくださっていたDolphinE(どるふぃーね)氏に今回のアルバムに対してのインタビュー記事を執筆していただいたので、ここに掲載させていただきます。ボーカロイド文化を大切に思っている彼しか執筆できない素敵な記事になりました。
改めてありがとうございます。
コロナ禍で沈んでいく気持ちを暗示した「灰に潜れ」
DolphinE (以下D) :1曲目の「灰に潜れ」は久しぶりのねじ式さんらしい「二番手ゆかり」曲であるとともに、タイトルやMVとジャケットイラストのキャラクターの一致から、今回のアルバムの「表題曲」的な立ち位置の曲だと感じましたが、どうでしょうか。
ねじ式 (以下N) :そうですね。確かに「二番手ゆかり曲」ではあるんだけどそれは表テーマで。歌詞の中では明言していないけど、コロナ禍の中で会えなくなっていったり約束がうやむやになっていったり…そういった距離ができていってしまう状況を重ねて書いた曲ですね。
コロナのことを直接盛り込むのは、ちょっと嫌だなと思ったので書かなかったんですけど。
作っていたのが3月~5月くらいだったので、まさにコロナで沈んでいくときの気持ちがよく表れている曲だと思います。
D:聴いていても、確かに「二番手ゆかり曲」なんだけど、単純にそれだけではないような感じがしました。
N:いろんなことが「コロナのせいで…」ってなっていって。だから「二番手ゆかり曲」っていうよりも、いろんなことが分断されてしまった気持ちを書きたかったっていうのがありますね。アルバムの中でも一番「堕ちている」曲という感じです。
この曲ができたときに、「こういうものがベーシックにあるアルバムにしたいな」っていうことは思っていました。
本当は励ますような曲を書こうと思ったけど、「…書けないな」って感じだったので。
D:オフィシャルサイトでもそのようなことを書かれてましたね。
N:そうそう。「ヌケガライド」みたいな曲が書ければ良かったんだけど、なかなか難しかったな…
D:あとはMVを見ても、ゆかりさんボーカルなのにゆかりさんがキャラとして出てこないというのは、珍しいパターンだなと思いました。
N:そうですね。ゆかりさんだと「二番手な恋愛」か、もしくは「re-born」や「クラヴィウス」「ヌケガライド」みたいな人を励ますような曲が合うなと思っていたんだけど。今回の曲はそのどっちでもない感じだったので、「キャラはオリジナルでいきたい」と檀上さんに伝えましたね。
D:センラさんとの同時投稿についても、結構久しぶりだったと思いますが…
N:センラさんとは結構オンライン飲み会とかやってたので、そこでお互いに作った曲を聞きあったりとかしていて。そこで「そういや『七草夢物語』以来やってないよね」って話をして、久しぶりにやろうかっていう感じで決まりましたね。
D:サウンド的にもかなり好きな曲なんですよね。
N:本当ですか。結構今の自分のベーシックな音っていうのはあんな感じですね。ギターのトラック数が減ったのかな。このアルバムだと「Rusty Dream」とか「マケモノループ」とかはギターのトラック数が多いけど、「灰に潜れ」とかは2トラックくらいで、あとはほとんどシンセなので。
D:「カーテンコール」などでも感じましたが、以前のアルバム「nevertheless」で特徴的だった「新しい表現」の延長にあるのかな、と。
N:そうそう。「灰に潜れ」とか「カーテンコール」、あと「パライソ・パライソ」は
「nevertheless」以降に書いてる曲なので、こういう音になるなっていう。
生ドラム系が減ったのかもしれないですね。ウワモノの楽器は結構弾きますけど、生ドラムでバンドでやれる曲っていうのはすごく減ったのかもしれないです。逆に「どうしてもバンドで一発でやれるような曲が作りたい!」と思って「髑髏が咲いている」とかを作りましたね。
D:生ドラムにすると、結構ロックに寄りますよね。
N:そう。最近生ドラムだけの曲が結構減ってきていると思っていて。生ドラムであっても、シンセ系のキックとかスネアとかを足していたり。別にそこまで流行りやトレンドに寄り添ったつもりではないけど、そういった音楽もよく聴いているので、それが自然に自分の中に入ってきたのかなと感じますね。
「パライソ・パライソ」―新たな可能性を秘めたカップリング曲
D:「パライソ・パライソ」は、アーティストさんへの提供曲であると同時に、ボカロキャラのカップリング曲でもあるというのがかなり特殊だと感じて、どういう風にそれらを落とし込んでいったのかなと思いました。
N:実は以前のあかりちゃんソロ曲「9andA」で、伏線としてONEちゃんが出てくるようなMVを作っていて。あとは「だらしないまんまいきていて」のときみたいな、新しいカップリングのものを作りたいなと思っていたときにちょうど依頼が来て。そのときに、イラストの髪色なんかを見て「きずおね」にハマっていたんですよね。
で、依頼の内容を見たときに、「こっちもカップリングを立てて曲を書いて、ボカロ版と同時投稿にしてもいいですか?」っていう話をしたら、「ぜひぜひ!」と言ってもらえたので、きずおねでやってみたっていう感じですね。
サウンド的には「nevertheless」以降で、「Ice breaker」よりもちょっと「あどけない百合」っていう感じの可愛いイメージで書きました。
D:MVのあかりちゃんとONEちゃん、めっちゃ可愛いなって思いましたね。
N:そうそう、めちゃめちゃ可愛いんですよ。檀上さんのMVもすごいいいなと思っていて。だから動画で、「きずおねにまで手を出したか!ねじ式!」みたいなコメントももらえたりして、新しい可能性が広がったかなと感じますね。
あとは結構楽しんで書けた曲なので、アルバム全体のメッセージ性の強いところからはいい感じに外れた曲があるといいなっていうところで、2曲目に入れました。
D:CeVIOのONEを使った感想はどうでしたか?
N:CeVIOのONEは声の抜けがいいのですごく歌わせやすいです。最近はゆかりさんとかIA、flowerもCeVIO AIになりますからね。CeVIOやCeVIO AIはデフォルトで結構ちゃんと歌ってくれるので。前も三枚目のアルバム「nostalgic diva」のときに、自分のデビュー曲の「六等星の夜」のさとうささら版を作ったんですけど、そのときもいい声だなあと思っていて。また新しい可能性が出てきたのを感じて今回使いました。
D:最近、いろんな合成音声ソフトが出てきて、界隈全体が盛り上がってきていますよね。
N:CeVIO AIやSynthesizer Vが出てきて、歌声合成の変革の年になるのかなと感じていますね。僕の周りだと、VOCALOID5が出ているのにVOCALOID4を使っている人が多いので、それで次のものが出てこないと、界隈全体が廃れてしまうと思っていて。だからそういう意味では良いニュースだなと感じていますね。優秀なサードパーティーが入ってきたことによって新しく始まっていく、みたいな感じがしました。
弱い自分と向き合って生まれた「滲む世界」
D:個人的な感想ですが、「滲む世界」は「空白のカレンダー」と対照的な印象を受けました。
N:そうですね。「空白のカレンダー」が「こんな大変なこともあるけど頑張ろう!」みたいな気持ちだとしたら…この曲は、夜中に散歩しながらキャスをやっていたときの自分が出ているかなと思いますね。夜に散歩をしていて、いろんなことがあるけど空は変わらず綺麗で「本当に世界中が大変な状況になっているのかな」と思ってしまうような。
この曲は珍しく、納期までにできずに少し遅れた曲でした。
D:そうだったんですか?
N:これも、トピアっていうアプリのイベントの優勝者に書き下ろすっていう依頼で作った曲で。「アッパーな曲書きましょうか?」って話したんですけど、鳳玲天々さんサイドが「柔らかくて優しい曲が歌いたい」って話だったんで、それで作り始めたら…「なんか柔らかいっていうか、弱い感じになったかな…」と思ったんですけど、でも聴いてもらったら「すごくいいです!」って言ってもらえましたね。
D:そうですね。提供曲にしては、ねじ式さんの価値観のようなものが強く出ているなとは感じました。
N:そうそう。今回、そういうことをいろんな人たちに許してもらったというか。アルバム中でコラボの曲が多いのも、コラボがなかったら曲が作れなかったんじゃないかというような感じで。自発的に書こうとしたらどうなっちゃうんだろうな、っていう不安があったんですけど。でもそういういろんなコラボの話をいただいたり、今までお付き合いのあった音楽会社の人から「これからも曲作り続けてよ」みたいな風にお話いただいたりっていう感じでしたね。
この曲も作っていたのが3、4月くらいだったので暗い気持ちで。でもその「ずーんとした気持ちや弱い自分と素直に向き合おう」っていう曲になりましたね。
D:Vtuber界隈等への関心はありますか?
N:やっぱりありますよ。だってビックリするくらいカップリング曲をカバーされたりとかしているので。ちょっと前までの歌い手文化がVtuberに移動しているような感じがすごくしています。
D:VtuberさんへボカロPさんが楽曲提供することもかなり多いですよね。
N:そうそう。だから今後も、そういうVtuberさんからの書き下ろしの依頼があったら、喜んで書こうかなと思っていますね。
D:自分もVtuber、めっちゃ好きなので。
N:いいですよね。なんか、第2次Vtuberブームが来ているような気がするというか。出てきたばかりの頃の「新しいもの」というよりも、ちゃんと人が集まってきて盛り上がっているなっていう風に感じますね。
「アリウム」―予想以上に周囲の間で評判の1曲
D:「アリウム」と「髑髏が咲いている」はbuzzGさんとのコラボアルバム「フリィダム・ランプシェード」が初出ですよね。このコラボアルバムについてのお話もお聞きしたいです。
N:「フリィダム・ランプシェード」は、buzzGさんと「お互い2曲ずつ歌おう」という話をしていて、僕がbuzzGさんの「しわ」とオリジナル1曲、buzzGさんも僕の「ブラッディ グラビティ」と自分の曲1曲っていう感じになりました。このアルバムはM3で出そうという話だったので、ボカロじゃない人間の歌の入ったアルバムにしようということを考えて作りました。
D:その「フリィダム・ランプシェード」の「アリウム」はねじ式さんボーカルでしたが、今回のアルバムではボカロ版ということで、雰囲気の変化やボカロの調声等についてはどうでしたか?
N:「アリウム」は、自分の歌いやすくて好きな感じで作った曲で。そこから今回のアルバムでボカロ版を出すんだったら、ちゃんとボカロにあったキーにしようと思って作り直しました。あとは、ミクのボーカルが可愛くなりすぎず、勢いのあるような声にするっていうのは結構気を付けました。ゆかりだとちょっと切なすぎて、ミクの方が重くなりすぎない感じがして良かったですね。
意外とこの曲は、「フリィダム・ランプシェード」のときに「良かった!」と言ってくれる人が多かったので、ライブでもやってみたいなと思ってますね。
D:自分もめちゃくちゃ好きな曲なので、楽しみにしてます。
N:本当ですか!?自分では結構わかんないんですよね。知り合いから「この曲動画で出さないんですか?」って言われて、「あんまり考えてないんです」って答えると「出したほうが良いですよ!」って。
D:自分が聞いた感じだと、言葉選びもメロディラインもサウンドも「ねじ式さんらしさ」がすごく出ているなという風に思いましたね。
N:へえ~。確かにギターも結構入ってるし、いいバランスな感じがします。ちょっとこれは今の感想を受けて、動画投稿も考えてみます。
別に良い曲と思ってないわけじゃないけど、サラッと素直に書いた曲なので。自分で思っていた以上に、いろんな友達からのウケがいい曲ですね。
D:やっぱり自分が作ったときに感じたものと、周囲からの反応って結構違いますよね。
N:違いますね。それは一時期コンプレックスにもなりましたし。「自分が本当に好きな曲ってあんまり伝わんないのかな…」とか、そういうことは思いました。それこそ、「9andA」とかは歌詞がすごく気に入っているんですけど、でも再生回数としてはあんまり伸びないなとか、そういうことは思いますね。ただ、直接会った人からは「この曲の歌詞に救われた」といったことを言ってもらえるから、再生回数だけでもないと思っています。
「髑髏が咲いている」―SNSに毒づいたロック
D:「髑髏が咲いている」は、ねじ式さんにとって初のv flowerオリジナル曲ですね。他のボカロPさんのflowerを使った曲にはクセの強いものが多いように感じますが…
N:そうですね。flowerを選んだ理由もそのクセが強いっていうところで。クセの強い曲だから、「これはflowerだろうな」と感じて使いました。
D:じゃあ、順序的にはまず曲ができて、それに合う声としてflowerを選んだという感じなんですね。
N:そうそう。曲ができてから、いろんな声を試したんだけど…ゆかりだと優しすぎるし、ミクだとクセの強い調声っていうのが結構苦手で。他のボカロPさんだと、ミクをクセの強い感じで調声できる人もいるけど、僕の場合は割と素直な感じになってしまうんですよね。
その点flowerは、良くも悪くもちゃんと打ち込んでも機械っぽいところがあるというか、「ボカロ」っていう感じの音になるので、この曲で使いました。
D:歌詞についてはいかがですか?
N:歌詞は、「ちょっと言い過ぎたかな…」っていうところがありますね(笑)たまに、SNSとかそういうのをすごくディスりたくなるときがあるんですよ。前の曲だと「テラクライド」で思っていたことに近いかな。ネット上で、自分の思ってもいないような気持ちを勝手に決められたりとか、相手によって態度を変えたりすることが多い時代になってきていると感じて、それがすごく気に入らないなと思って。だからそれを含めて、「顔では全然笑っているけど、心の中では髑髏が咲いていることってあるよね」と思って書きました。
D:聴いていても結構ドキッとするというか、「自分にもそういうところがないか?」と問いかけられるような感じがしましたね。
N:結構周りからも「キツイ」とか「そんなこと言わないでよ…」みたいなことを言われたので。自分にも当てはまっちゃって辛いし、あんまりお気に入りの曲とは言えないんだと思います。閉じ込めて逃げ場をなくした上でぶん殴るみたいな曲なので(笑)
だからギターの音もすごく久しぶりに鋭い感じで。最近はそういうギターをあんまり弾かなくなってきて、ファンク系みたいな感じに変わってきたので、「ゴリゴリなギターもまだ弾けたんだな」と思いましたね。
D:そうですね。「フリィダム・ランプシェード」で初めて聴いたときも、「なんか久しぶりのロックだな」と感じました。
N:そうそう。1st Albumや2nd Albumのときとか、バンドをやっていたときはそういうロックしかできなかったんですが…そこから徐々に新しいものを手に入れていくにしたがって、その分ロックっぽいアプローチは手放してきたと思います。ただ、手放したとはいっても、今でも使えるものはあると思うので、今回は久しぶりにそれを引っ張り出してきた感じですね。
…まあキツイ曲だから、自分で歌いたいとはあんまり思わないけど(笑)
北海道への旅中に生まれた「カーテンコール」
D:「カーテンコール」は、自分の中で結構謎の多い曲というか、この曲に関する情報というのがあまりないなという風に感じていました。
N:そうですね。この曲は確か、札幌に旅行しているときに作った曲なんですよね。だから自分の中では、氷点下何度かくらいの札幌の景色が目に浮かぶ曲というか。札幌モーターショーで「bright horizon」を書き下ろしたときに札幌で弾き語りライブを企画して、その旅の時に小さい鍵盤とノートパソコンを持って行って、ホテルの部屋で作った曲ですね。
D:ゆかりさんの切なげな調声も印象的でした。
N:この曲ではゆかりの穏を使ってますね。僕は穏を使うことってかなり少ないんですけど。旅先のホテルでデモを作っていたときに、なんか打ち込みがメインで力の抜けた感じのものが作りたくって。だから歌声に関しても、ぼそぼそと歌っているような感じが作れたらなと思いましたね。
D:確かに、シンセのキラキラしたようなサウンドが耳に残りましたね。
N:そうそう。ちょっとホテルで作っていたこの曲のデモ版があるので聴いてみましょうか。
D:おお。ぜひ聴きたいです。
(デモ試聴中…)特徴的だったエレピも入っていて、この段階で方向性はだいたい固まっている感じですね。
N:そうですね。で、これを家で細かいところまで固めていくっていう感じで。曲のスケッチ書きといった段階では、旅先のホテルとか新幹線の中とかで作ってることが多いですね。だからこの曲に関しては、札幌の雪とか重い空の感じが出ていると思います。
D:この曲は確か声月のときのモバイルバッテリーの封入曲で、アルバム収録も今回が初と。ゆかいあファンとしては、この曲も動画投稿などでもっとプッシュしてほしいような感じもありますが…
N:ははは(笑)確かに。ただ動画の方は、今年のそのポジションを「パライソ・パライソ」で使っちゃったんですよね。なんか1年に1百合曲みたいなところがあって。もちろんゆかいあとかは好きだけど、いつも百合曲ばっかり作ってるのも…って思うので。来年またCeVIOになったときに会うから、今年はもういいかなと思ってますね。
だからこの曲は知る人ぞ知る、っていう感じでいいなと考えてます。
「アイワナ・アロワナ」―過去の自分の曲に励まされて
D:「アロワナ・アロワナ」は2年前のコンピレーションアルバム「ぼくのすきなバンド」の収録曲でしたよね。
N:そうですね。そのときに「ELLEGARDENとアジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)みたいなのが好きだ」っていう話をしたら、「じゃあそんな感じで1曲お願いします」と言われて書いた曲ですね。
今回のアルバムの収録曲を考えていたときに、やっぱりちょっと反骨精神があって「前向け!」っていうような曲を書きたかったんだけどなかなか書けなくて。それで自分の過去の曲で、未収録曲のそういう曲ってあるかなと考えたときにこのコンピのことを思い出して、コンピの主催者さんに連絡をとったら「ぜひぜひ!」と言ってもらえたので収録しました。こういう曲は自分としても好きですね。
D:背中を押される感じがいいですよね。
N:結構歌詞もがっつり力入れてるし…今の自分が、過去の自分の歌詞に励まされたような感じがありますね。
D:ねじ式さんのバンド時代のお話や、そのときからの影響についてお聞きしたいです。
N:バンド時代は結構こういう曲をライブとかでやったりしていましたね。やっぱりなんだかんだで、ギター・ベース・ドラム・ボーカルみたいなバンド編成の曲が好きなので、それは今でも好きだなと思ってやっていますね。
D:コロナ禍における「バンド」に対しては、どのように思いますか?
N:やっぱりバンドが軒並み解散したり、サポートミュージシャンも仕事を辞めちゃったりとかしていて…バンドって、サブスクでリリースしてもそんなに聞かれるわけでもなく、MVも自分たちが写ったりするからそんなにポンポン作れるものでもなく、ライブをやってグッズやCDの売上でなんとかやっていけるっていう状況だったから。そのライブが絶たれてしまった時点でほぼおしまいっていうのがありますね…だから潜ってレコーディングしているか、その体力がなければ辞める、っていう選択肢になってしまうので、その点はやっぱり心が痛いですね。
D:コロナ禍でバンドが大変な中で、「アイワナ・アロワナ」のような「バンド」というものを強く意識されたであろう曲を収録したことに、何か意味があるのかなと感じました。
N:そうですね。正直、「フリィダム ロリィタ」以降は僕のバンドじゃないサウンドの曲が好きな人も結構増えたんですけど、元々ボカロ界隈で自分を応援してくれていた人たちにはバンド好きの人が多かったので。だからそういったバンドが好きな人、バンドを応援している人にも楽しんでもらえるような一枚になるといいなと思いましたね。
あと、今回のアルバムは曲順を考えるのが難しかったです。「灰に潜れ」と「アイワナ・アロワナ」はサウンドがかなり違うし、歌詞も「髑髏が咲いている」と「bright horizon」は全然別ベクトルで、「どこに置こう…?」みたいな。ただ、その辺りに関してもかなり考えて作ったので、違和感なく通して聴けるとは思います。
なんにしても、アルバムとしてはかなり歪だけど、自分の念がこもった一枚になればいいかなと思っていますね。
「マケモノループ」―同人イベントでの再会を願って
D:この曲は、KAIさんが主催されたゆかいあコンピ「惑星軌道」からの収録ですね。
N:そうですね。これはなんというか、僕の勝手でおせっかいなプレゼントみたいなものなんですけど…KAIさんって僕をすごくたくさんの同人イベントに引っ張ってくれたり、新潟の同人イベントに呼んでくれたときに「美味しいもの食べさせたいからどっか行こう!」みたいにしてくれて。だから自分が同人イベントに出るっていうときに欠かせない人だったんだけど、今はいろんな事情があって全く参加できていないみたいで…そういった苦しさとかやりきれなさがTwitterとかを見ていても伝わってきたんです。だから、KAIさんのコンピ収録曲であることを明記したうえで今回のアルバムに収録することで、「またイベントで会おう!」みたいなメッセージになればいいなと思って入れました。
D:今回のアルバムにこの曲が収録されるのを知ったときはすごくビックリして、「2年越しにねじ式さんのアルバムに入るのかあ…」と感慨深いような気持ちになりましたね。
N:今回は、誰かしらと繋がっているアルバムにしたかったんですよね。イベントに出れなくて直接会えない分、音楽で誰かとコラボレーションしたものがいっぱい入ったアルバムにしようというのがありました。
D:これはKAIさんからTwitterのリプライで聞いたんですが、この曲は「ヌケガライド」や「ブラッディ グラビティ」みたいなゆかいあ曲というリクエストがあったんですよね。
そのうえで、コンピのテーマが「『ゆかいあ』とは?」というもので、この二つを同時に考えるのはどうでしたか?
N:「ゆかいあでアッパーな曲」っていうリクエストは実はめちゃくちゃ難しくて。百合な感じというよりも、「ステージで二人が畳みかけるように歌う曲」みたいなイメージにして作りました。だから「僕にとってのゆかいあ」というよりも、「アッパーな曲を歌うゆかいあ」だったらこれが答えかな、っていう感じですね。「ピニャコラーダ」や「Ice breaker」みたいな感じではなく、「ブラッディ グラビティ」や「ヌケガライド」みたいな曲をやりつつ、ゆかいあかぁ…って思いましたね。
歌詞的には、「負け続けているループから抜け出せ!」みたいな。バンドが解散してつまんねえなって思っているような、そういう自分が負け続けていた状況から抜け出させてくれたのがボカロ界隈のシーンだったので。そこで新しい表現の場をもらったんですよね。そういう「自分をごまかさずにやってみろよ!」みたいな気持ちを、アッパーなゆかいあに合わせて書きました。
D:前に自分が「『ブラッディ グラビティ』や『ヌケガライド』はすごくねじ式さんらしくて好きだ」というツイートをしていたら、KAIさんから「わかる」みたいな感じのリプライが来て、そこで語り合ったりしてました。
N:うわ~それはめちゃくちゃ嬉しいな。やっぱりなんか、自分の中で「一回負けている人間」っていうことが重要で、負けたことがないような人には刺さらなくてもいいやっていうように感じているところがありますね。バンドが解散したのもそうだし、再生回数やフォロワーとかも一発でドーンと売れましたっていうタイプではなかったので。まあ今は「フリィダム ロリィタ」が170万再生くらいいって、「少しは人に誇れるものになれたのかな」っていう気はするけど…2014年でも「ダチュラと林檎」や「ブラッディ グラビティ」はあったけど、そのあと2015年くらいで再生回数が一回落ちるっていうことがあったりしたので、「何度でも復活してやればいいじゃん」みたいな気持ちはありますね。
一番好きな歌詞を綴った「9andA」
D:「9andA」はねじ式さんにとって初の紲星あかり曲ですよね。確か昨年紲星あかりオンリーイベントに参加される際に発表された曲だったと思いますが…
N:そうです、すごいちゃんと覚えてくださってるんですね。
D:イベントではずっとねじ式さんのことを追っかけまわしてたので(笑)
N:ははは(笑)やっぱりボカロマケッツさんとは仲がいいし、もちろんそれを抜きにしても紲星あかりは使ってみたいなと思って使いましたね。
D:使ってみての感想はどんな感じでしたか?
N:僕の中では、紲星あかりの声質はGUMIに近い印象です。僕がGUMIに歌わせたい世界観に近いかなと。脳内変換してもらうとわかるかもしれないけど、この曲はGUMIが歌ってもよさそうな感じじゃないですか?
D:あ~、確かにそうかもですね。
N:そう、GUMIは僕の中でああいういい歌詞の曲を歌ってほしい人で、あかりちゃんはそれに近い感じ。優しくて「そういうこともあるよね?」って温かく寄り添ってくれるような歌詞を書きたいときに、あかりちゃんがいいなって思いましたね。逆にあかりちゃんでロックな曲って難しいなって思います。
D:この曲はMVを見ると、「実質きずおね」ですよね?
N:そうですね。これは歌詞の世界をプロットで書いたんですけど、同じ中学の同級生だったんだけれども同じ人を好きになっちゃって、あかりちゃんがその人と楽しそうに話しているのを見てONEちゃんが嫉妬して。ONEちゃんも違う人と付き合ってみるけど上手くいかない感じで、二人が離れ離れになっていく…で、その二人が高校生になってから再会するっていうストーリーなんですよ。MVでは、後半で二人が再会するときに制服も変わってるんです。
こっちは「パライソ・パライソ」に比べると、もっと可愛らしい感じで作りましたね。どっちも妹分的な立ち位置だから、いつか絡ませたいなと思っていて。
あとは、イラストレーターのちょまさんがすごく温かくて絵本みたいな絵を描いてくれる方なので、そのおかげですごくいいMVになったかなと思います。
D:タイトルについても、数字の「9」に込められた意味について結構考えてましたね。
N:これは9年間の義務教育があって、その後として高校につながるみたいな意味を込めて書きましたね。結構自分自身も、中学生のときまで一緒だった友達と、高校で離ればなれになるみたいなことがあって、そのときにいろいろなことを思って…しかもそうやって離ればなれになった後、また何かのきっかけで仲良くなって、より理解しあえる事とかもあったので。
人間って、仲良くなったからこそ仲が悪くなることってあると思うんですよ。すごく仲がいいからこそ、何かあったときにすごく失望して仲が悪くなるんだと思うので。だから一回仲が悪くなったらもうおしまい、じゃなくて、仲が悪くなったとしてももう一回仲良くなることは、まあ簡単ではないけどできるよね、っていう風に考えてますね。
そんな感じで、歌詞はこの曲が一番好きですね。韻の踏み方もそうだし、自分で聴いていてもグッとくることが多いですね。
D:紲星あかりの調声についてもお聞きしたいです。個人的には、あかりちゃんってデフォルトの状態だとちょっと可愛さが足りないかなという気がしていて、結構過激な調声をすることが多いんですが、ねじ式さんはどうされてますか。
N:あかりはジェンダーファクターを10~15くらい下げてますね。あとはちょっともにょもにょするところがあるから、ブライトネスとかを少し上げてクリアな感じにしてますね。加えて、ミックスではコンプレッサーを強めにかけてます。特に「パライソ・パライソ」では、ONEと同じコンプの設定だと、あかりちゃんの方が埋もれてしまうので。ONEの声は吐息成分が多くて艶っぽい、すごく抜けがいい声なんですけど、それに比べるとあかりちゃんは結構埋もれるから…だから同じような音量に聞こえるけど、実はEQのバランスとかは結構違いますね。
今の自分たちをストレートに表現した「空白のカレンダー」
D:「空白のカレンダー」は、このアルバムの中でも一番今の状況をストレートに歌った曲ですよね。
N:そうですね、これはもうまんま今の現状を書こうと思っていて。この曲も「アカルイツナグミライ」っていう企画のために書いた曲ですね。この企画は、僕の曲のエンジニアリングをやってくれているVoxBoxStudioというスタジオの深井さんが立ち上げたプロジェクトで、「いろんなミュージシャンが廃業に追い込まれているから、その人たちに仕事を与えるためにクラウドファンディングをしたい!」といって始まったもので。だからこの曲では、ドラムとかベースとかも全部ミュージシャンを呼んだ生演奏なんですよ。そういう企画で書く曲だから、やっぱり今の自分たちをストレートに表現したものにしたいって思って。ちょっとストレートすぎるかなとも思ったけど、「いや、これくらい書かないと意味がない!」と思って書きましたね。本当に「滲む世界」の対極というか、振り絞って書いた曲です。
あとは、サビはマイナーなんだけど明るい曲、前向きな歌詞にしようと思ってました。
D:MVも力が入っていましたよね。
N:そうですね、すごくよかったです。
なんか、自分がこのアルバムを聴いたときに「2020年ってあんな年だったな…」って思い出せるようなアルバムにしないと出す意味がないと思って。この曲をタイトルに持ってこようかとも思ったんですけど、全部が全部元気な曲でもないので、迷ったところがありましたね。
D:曲順的にも割と後半の方なので、これはやっぱり一年間の浮き沈みのようなものを反映しているのかなと思いました。
N:そうですね。そうやって思うと、時間軸が結構似ているかもしれませんね。「灰に潜れ」はコロナになって沈んでいく感じで、そこからちょっとダウナーな感じだったり過去のことを色々思い出したりして、「空白のカレンダー」からまた立ち上がっていこうっていう感じですね。
歌詞とかでもやっぱり「このまま終わりじゃないよ!」っていうことを言いたかったです。VoxBoxStudioの深井さんに曲を渡したときも「歌詞読んだだけでも泣きました」って言ってもらえて、それがすごく嬉しかったので書いてよかったなって思いますね。
D:個人的にはメロディラインもめちゃくちゃ印象的で、特に「愛を謳おう」のところがすごく耳に残るんですよね。
N:そこは、コード進行がメロディに合わせてどんどん変わっていく感じにしているので、自分の中でも結構面白く作れたなと感じている部分ですね。
「Rusty Dream」―絶対に今のアルバムに必要だった1曲
D:「Rusty Dream」はボカロマケッツ公式コンピの「星月の詩Ⅰ」への書き下ろし曲でしたよね。このときはどんなことを考えてこの曲を作りましたか?
N:これもありがたい話なんですけど、歌い手さんからの依頼だと「ダチュラと林檎」とか「フリィダム ロリィタ」みたいな曲のリクエストが多いんですが…こういうボカロアルバムへの書き下ろしってなると、「ブラッディ グラビティ」みたいなロックで歌詞が刺さる曲を作ってほしいってなることが多いんですよ。この「星月の詩Ⅰ」に関しては、特にリクエストがあったわけじゃないんですけどね。
今年の7月に京都のイベント「ゆかいあ感謝祭」に出たときに、イベント終了後ボカロマケッツの皆さんと食事しながら「今年大変なことになりそうですね」ってしみじみ話してたんですけど。そのときにマケッツのBumpyうるしさんからは「まあでもねじ式さんならへこたれないでしょ」みたいなことを言ってもらえたりして。自分の中でも「このままでは終われないな」って思ったことを、アルバム曲を考えているときに思い出しましたね。
ただ正直、去年に収録していただいた曲なので、今回の収録によって公式コンピの方の売り上げに影響が出ちゃったら嫌だなとは思ったんですけど。でもやっぱり、「この歌詞はどうしても今のアルバムに必要だ」って思って。だから「こういうアルバムを作っていて、こういう気持ちで収録したんです」っていうことをうるしさんに説明してお願いしたら、「ぜひぜひ!」って言ってもらえたんで、収録しました。
D:自分も公式コンピは買っていたので、結構前からこの曲は聞いていたんですけど、コロナ禍の今聞くと、公式コンピリリースのときとは歌詞の意味合いも変わってくるように感じますね。
N:本当にそうですね、そういう感じは自分の中にもあって。これも「アイワナ・アロワナ」と同じように、過去の自分に励まされたような感じですね。
もっと言うと、この曲はすごい昔にデモを作った曲で、そのときからとても気に入っているんですよね。だから、そういう曲を今回収録できてよかったなと思います。
「bright horizon」―コロナ禍前の気持ちを思い出して前向きに
D:「bright horizon」は札幌モーターショーのテーマソングとして書き下ろした曲ですよね。この曲はどんな風に作っていったんですか?
N:この曲に関しては、札幌モーターショーさん側からのリクエストが結構あって、「『走り続けよう!』みたいな意味合いを込めてほしい」といったことを言われました。当たり前ですけど札幌って雪が多いので、「1月にモーターショーやってもみんな車なんて乗らないよね…」みたいな少しネガティブな空気感がすごくあるらしくて。だから東京や大阪のモーターショーは毎年やってるんですけど、北海道だけは2年に1回なんですよね。そんなドライブしたくても冬場は雪があってあんまりできないような中でも、短い季節だけでもドライブを楽しみたいっていう人もいるので、そういう「限られた時間の中でも全力で楽しむ」みたいなものを表現したりしました。
これは札幌モーターショーの公式サイトとかにも書いてあるんですけど、チケットの売れ行きが良くなくて赤字だったりとか、そういう「ちょっと失敗していることもあるけど、でも懲りずに続けたい!」みたいな背景のある依頼で。で、クリプトンさんが僕の「NEVERTHELESS」って曲を聴いたときに、僕にそういう経緯のある札幌モーターショーのテーマソングを依頼したいと思ったらしくて、お話をいただいてやらせていただきました。
だから「いろんなことがあるけど、頑張ろう!」とか「走り続けよう!」みたいな人生観を、ドライブや車を運転することにかけて表現してほしいっていう依頼でしたね。
僕にとってもこの曲は、コロナ禍になっていく直前の一番いい思い出のある曲だったので…ネガティブな意味ではなく、「もう一度自分たちの気持ちをコロナ前に戻して、あの頃と同じように前を向いて頑張ろう!」っていう思いを込めて、この曲を最後に持ってきました。
クリプトンさんからも「ぜひ収録してください!」って言ってもらえたので、本当にいろんな人たちとの関わりがあるアルバムになったと思います。
D:聴いていても、アルバム最後の締めくくりにピッタリの曲だと思いました。
N:この曲でいい感じにホッとなって終われるし、そこからループして「灰に潜れ」に戻るとまたずーんと沈む感じで、そこも綺麗に繋がるかなと思います。
今回のアルバムは、結構「通して聴いてほしいアルバム」ですね。バラバラなようだけど、感情的な一貫性はあるなと感じているので。
「人とのつながりを大切にしたアルバム」と共に望む、ワンマンライブへの思い
D:改めて、今回のアルバムは全体としてどんなものになったかお聞きしたいです。
N:「人とのつながりを大切にしたアルバム」という感じですね。新しく「Rusty Dream」みたいな曲を書くってなったら、辛いっていうと言いすぎだけど、ちょっとな…って思っているところがあって。だからそういうところで、いろんな人たちから助けてもらって、力を借りて完成したアルバムだと感じてます。
D:最後に、今回のアルバム発売に合わせてねじ式さん初のワンマンライブを実施されるというところで、相当な覚悟があったと思います。その思いについてお聞きしてもいいですか?
N:そうですね。今年の1月末に出た「vocastock」っていうライブイベントがあったんですけど、それをやったライブハウスも潰れてしまって…それに地元のライブハウスもどんどん潰れていってしまったんですよね。で、ワンマンライブをやるってなって、もちろん「頑張れ!」って応援してくれる人が多いんですけど、当然のことながら「こんな時期にそんなことを…」みたいな批判の声はあって。そこでbuzzGさんと一緒にやろうってなると、それはbuzzGさんに迷惑がかかるっていうのがあって、それなら僕一人が責任を持てばいいかなと。確かにコロナに直接罹って亡くなったり苦しんだりしている人がたくさんいるけど、じゃあ仕事を追われて心が死んでしまった人はカウントしないのか、っていう気持ちもあるので。
クラブクアトロの人から直接「1月とかも全然予定がなくて、こういう状況だけどライブで使ってくれたりしますか…?」みたいな連絡をいただいたんですけど、「ええ~今?」みたいな、さっきの批判の声と同じようなことも思ったんですよね。正直、「なんとかアルバム出して乗り切って、後はライブとか表立ってやらなければ変な風に責められたりしないよな」と思ったんですけど…でもクアトロにもその人にもすごくお世話になっていたので、「…やりたいな」と思って。別に人を助けるためだけの理由ではやらないのですが、単純にライブをやりたいと思ったし、その人のためにもなりたいし、お客さんも覚悟を持って万全の対策をして来るのであったらいいんじゃないかと思いました。もちろんそれで、県をまたいだ移動ができな人からすると「非常識だ!」って思われることはあると思うし、感染者も増えている状況だけど「じゃあずっとこのままでいろっていうの?」っていう思いもあるので。
だからそんな気持ちが沈んでいる中でも、「来年の1月に楽しいことが控えてるぞ!」っていう風にわくわくしてもらえたらいいなと思います。同人イベントに参加するのが楽しみだったりライブでエネルギーもらってた人たちが、自粛でそういった楽しみが削がれていって、ちょっとずつ心も削れていく様子を見ているので。僕の独断でやれば「あいつ非常識だよな」って僕にくるだけでいいんじゃないかと考えて、「やろう!」と決めました。
D:自分もプライベートを含めていろいろと我慢を強いられていてしんどかったんですが、ねじ式さんのライブの告知を見てすごくそれがエネルギーになった感じがしています。
N:それなら良かったです。なんかTwitterとかが人の心を蝕みやすくなっているように感じますね。我慢を強いられている人が「○○飲み~!」みたいなツイート見たらすごい嫌な気持ちになると思うし。でもそういうツイートをする人だって、そんな嫌な気持ちにさせるつもりでツイートしているとも思えないんです。そして自粛したからといって、それが褒められるわけでもない。特に医療関係者の方はそりゃイライラもするよなっていうのもすごく解るんですが、かといって「みんな辛そうだから自分も外出るのやめます」というのが正解とも思えないし…
だからそういった遠慮はやめて、積極的にイベントにも出るし、曲やアルバムも出すしっていう感じでやっていこうと。そうしないと、僕も結構心を病んでいたので。そこは、自分の気持ちに素直になりたいなという風に思いましたね。
なんというか、2020年を思い出したときに「このアルバムと一緒にワンマンやったな」っていう年にしたいですね。「しんどかったしあんな1年もうヤダよね」じゃなくて、「ダメなりにいろいろやったよね」っていう1年やアルバムにしたいなっていう気持ちです。
D:なるほど...今日はありがとうございました!
N:こちらこそありがとうございました!!
ねじ式 9thAlbum「Dive in Virus」
2020年12月9日発売
通販サイト↓
TOWER RECORDS https://bit.ly/3ekBllo
TSUTAYA https://bit.ly/3eiUcgI
ヴィレバン https://bit.ly/3jLItZi
Amazon https://amzn.to/2HPndoM
2021.1.23 ねじ式レコ発ワンマンライブ決定!!
「Nejishiki 1st oneman live "Dive in Virus"」
会場:名古屋クアトロ 前売 4000円 / 当日4500円
チケット発売中!